君は誰でも良かったんだね、と彼に云われた時、私は耳を疑った。
特別な關係になって半年。出会いは会社同士の合コンで私が一方的に告白した。
彼は連れてこられただけだから、と初め嫌がっていたが、私がまたも一方的に押し切った。
そうやって今に至ったのだけれども、
如何して誰でも良いなんて言葉が出てくるのか全く分からなかった。
動揺してどもりながら問い返す私を尻目に彼は煙草に火を付ける。
彼は女の私が見ても美しい。そう、美しいのだ。
生まれたときからメラニンが缺乏している彼は白金のように輝く銀髪とブラウンの大きな瞳を持ち、
遠目では女性と間違えてしまいそうな程だった。
順調に進んでいるはずだったのに、私が何か惡いことをしたのだろうか。
それとも彼が嫌いになったのだろうか。真逆他に・・・。
君は僕をアクセサリにしてるよ。奇麗で自慢できる「彼氏」なら何でも良いんだろう?
彼はゆっくりと吸い込まれそうな眸で私を見る。
私は何も言い返せず、俯向いて唇を噛んだまま時間が過ぎた。
何も彼も見通されている気分だった。そういえば彼は一度も自分を見せたことがない。
それなのに私は一人で満足していたのかも知れない。
彼は初めから何も彼も分かっていたのだ。
分かった上で半年間、こんな茶番劇に付き合ってくれていたのだろう。
彼は立ち上がり、私の部屋から姿を消した。
3年経っても僕のことが好きなら連絡をくれ、と言い残して。
同期の女の子が煙草を吸いながら彼氏欲しいね、紹介してくれる?という
會話を聽く度に思う。
昔の自分の浅はかさと、白子の彼のことを。